新刊「アンが愛した聖書のことば-『赤毛のアン』を大人読み」発売のお知らせ
こひつじの新刊、発売されました。NHKの朝ドラ『花子とアン』 が始まって以来、大きな書店に行くと、アンや村岡花子さん関連の本が目につくようになりました。もう一度アンを手にとる大人が増えているのは、アン好きのこひつじにとってはうれしい、うれしい。朝ドラでは、『赤毛のアン』のエピソードや言い回しが随所に。これを探し出すのが、腹心の友たちの楽しみになっているようですね。
村岡花子さんは、銀座の教文館で編集のお仕事をされていました。3階にはキリスト教関連の書籍が集まっていますが、こひつじの本は、この3階のほか、子どもの本専門の6階のナルニア国でも購入できます。サイトで取り上げていただきましたのでご覧下さい。
出版を記念した「アンまつり」は、6月28日(土)の14時〜に決定! アンをキーワードに楽しくつながる一日になる予定です。詳細が決まりましたらご案内します。
『たのしいムーミン一家』読書会参加者募集中(会場、変更しました)
(満員御礼! 締め切りました)
5月10日の読書会の時間と場所が変更になりました。ご確認の上、お申し込みください。場所はメディアでも大人気の東向島珈琲店さんです。
こひつじとこすみの読書会の初回はムーミンでした。今年は著者のヤンソンさん生誕100周年ということで、ムーミンが各地で盛り上がっているようですね。ムーミン・シリーズでも基本のキですが、あらためて読んでみませんか?
日時:2014年5月10日(土)17〜19時
http://www.cfc101.com (東武スカイツリーライン・曳舟駅下車7分)
参加費:飲食実費(ドリンク&デザートでお願いします)
定員:8名
持ち物:『たのしいムーミン一家』を一冊お持ち下さい。
参加条件:課題図書を一冊、当日までに読んでこられること。
参加ご希望の方は、booksheepbook@gmail.com へ
・氏名
・年代
・連絡先</span></span>
を明記の上、ご連絡下さい。定員になり次第、締切り。お待ちしてます。
「『赤毛のアン』を大人読みする」報告と新刊のご案内
「『赤毛のアン』を大人読みするミニワークショップ@ひきふね図書館」終わりました。
今回もまたアンがつないでくれたすてきな出会いに恵まれました。改めてアン・シリーズを読み返してみると、アンは人をつなぐ名人ですよね。ときにはお節介のし過ぎで手痛い目にもあうところが、いかにもモンゴメリらしい筋運びで笑わせてくれます。今年はアンのイベントが各地で開催される様子で楽しみです。こひつじもなるべく参加してみたいと思っています。
さて、こひつじの新刊、いよいよ4月半ばに発売します。
タイトルは『アンの愛した聖書のことば-『赤毛のアン』を大人読み』(いのちのことば社)。4月中にはAmazon他オンライン書店で予約受付される予定です。100年以上経てもなおアンが愛される理由を、人の変わらぬ真理から読み解いてみました。え、聖書? と思われるでしょうか。モンゴメリが牧師と婚約時代に書いたアンということで、やはり全体に流れるものには、聖書の教える愛が。読みやすくエッセイ風に書きました。読書会の開き方を紹介したり、モンゴメリや翻訳家・村岡花子さんの生涯の紹介もあります。アンを好きな人はもちろん、アンの初心者の方にも親しめる内容となっています。きっと元気出ますよ! Anne Yearのこの年、『赤毛のアン』とともに、ぜひお手にとってみてください。
「植本祭」ということでこんなディスプレイが。まちライブラリーの活動のいっかんです。ぬり絵のワークショップ、楽しそうでした。
アンのワークショップの写真をすっかり撮り忘れていました。開館1周年となるひきふね図書館のプロジェクトコーナーで行われました。今年も夜の絵本の読書会を予定していますのでこちらもお楽しみに。
『赤毛のアン』を大人読みする」ミニワークショップのお知らせ
読書会報告『トムは真夜中の庭で』ツイート
はじまってます!今日はトムは真夜中の庭で 交錯する時と思い。素敵な情景描写。館系。夢かほんとか。タイムファンタジー。こども時代の終わり、それに続く人生。こどもの気持ち。 pic.twitter.com/zuzHOSTIUn
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2014年3月1日
はじまってます!今日はトムは真夜中の庭で 交錯する時と思い。素敵な情景描写。館系。夢かほんとか。タイムファンタジー。こども時代の終わり、それに続く人生。こどもの気持ち。 pic.twitter.com/zuzHOSTIUn
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2014年3月1日今回のお菓子は紅茶とクッキー。イギリスですからね。 pic.twitter.com/ssfIwXGgt5
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2014年3月1日
葉子さんのアンの本も春に出版されます!必見! pic.twitter.com/hLgjdNJLTF
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2014年3月1日
次回はムーミン!5/10 14:00-(仮) この読書会は初回もムーミンでした。満を持してパワーアップして開催します。お申込みおまちしてまーす! pic.twitter.com/tQ18PWUILR
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2014年3月1日
補足です!次回のムーミンは「たのしいムーミン一家」です。ベーシック! pic.twitter.com/OPFmCnnfzD
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2014年3月1日
第15回読書会『トムは真夜中の庭に』参加者募集中!
*残席2名となりました。満席となりました。
来年度は、このロングセラーから。モモに通じる時間もの。タイトルは有名なのに、
読んだことがない人の多い作品かもしれませんね。この機会にぜひ!
日時/2014年3月1日(土)13:00〜15:00
課題図書『トムは真夜中の庭で』
会場/墨田聖書教会
定員8名
参加費/500円
持ち物:課題図書(好きな版元のもの)
- 作者: フィリパ・ピアス,スーザン・アインツィヒ,Philippa Pearce,高杉一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06/16
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
ちょっと表紙が暗いんですけど、暗い話ではありませんよ~
*事前予約が必要です。
参加希望の方はbooksheepbook@gmail.comへ
・氏名
・年代
・連絡先(電話)
を明記の上、ご連絡下さい。定員になり次第、締切り。お待ちしてます。
*右側のサイドバーのいちばん下にあるメールフォームからも申し込みできます。
*ツイッターのダイレクトメッセージでも受け付けしています。
墨田聖書教会は、米軍兵舎をリノベーションした築65年、下町の小さな教会です。
アートやまちづくりに積極的に参加しています。
〒131-0033 東京都墨田区墨田3-19-4
東武スカイツリーライン「鐘ケ淵駅」から徒歩7分。
京成線「八広駅」から徒歩10分。
『赤毛のアン』の読書会報告
向島こひつじ書房とメリーさんとの共催による『赤毛のアン』の読書会、とにかく楽しかった ! アンの好きな女性たちと共に、ときめき尽くしの集いとなりました。話が盛り上がり過ぎて、なんと、当日の様子をほとんど撮影し忘れてしまいました。
来年は忘れずに。またお会いしましょう!
これがレイヤーケーキ。アンがアラン牧師夫人のために焼いた渾身の作。しかし、バニラエッセンスのかわりに入れたものは・・・
生地の間にラズベリージャムをはさんだバターケーキの一種です。
教会の物置きにずっとしまってあったプレート。初代の宣教師が使っていたのでしょうか。想像の余地があります。
メリーさん自ら絵付けしたカップ。キュート。
田舎風パンプキンとリンゴのパウンドケーキ。このりんごは、長野県小布施で栽培されているクッキングアップル・ブラムリー。特別な品種です。
ブラムリーついてはここ。
ブラムリーとは 【小布施屋】信州小布施のりんご|ジャム栗はちみつ
ひきふね図書館「夜の絵本の読書会」報告
ひきふね図書館で行われた「夜の絵本の読書会」の報告を
図書館ニュース2013年12月号に書きました。
図書館HPより、
トップページ - 墨田区立図書館 図書館ニュース最新号(2013年12月号)
をクリックして、会の雰囲気をぜひご覧下さい。
来年度も開催予定です。ぜひ図書館でお会いしましょう!
第14回『クリスマスキャロル』読書会 twitterつぶやき
こどもの本の読書会はじまりました!今回はクリスマスキャロル。 pic.twitter.com/0NWiWfLtaJ
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2013年11月30日
クリスマスキャロルの会のおやつは、バナナブレッド、ジンジャーブレッド、クリスマスティー! pic.twitter.com/3QI5pAHs8f
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2013年11月30日
クリスマスキャロル。キリスト教徒としてのクリスマス。描写の再現力、改心するのがなぜなのか、ひととの付き合い方、暗示、ひとつの言葉から人柄や状況と気持ちが伝わる、人生を俯瞰、かつての人間と世界。過去、現在、未来。精神的な祭のクリスマス pic.twitter.com/Liep2XqsJL
— こどもの本の読書会 (@kohituji_kosumi) 2013年11月30日
[https://twitter.com/kohituji_kosumi/status/406666240262799360:embed#次回は3/1土 13:00-トムは真夜中の庭で!見たこたあるタイトル。どんなお話なんでしょうか。真夜中の庭で何をするんだろう。ご予約はホームページの案内をご覧ください。 http://t.co/km9O7IR17
『赤毛のアン』の読書会参加者募集
満員御礼 !
今回はこひつじこすみの読書会ではなく、ティーインストラクターでもある2人の牧師夫人のコンビ
日時:2013年11月16日(土) 14:00〜16:00pm
場所:墨田聖書教会
対象:『赤毛のアン』が好きな女性(これまで読んだこと
定員:8名
持ち物:『赤毛のアン』の本。(翻訳は自由です)
参加費:1000円(ティータイム付き)
申し込み方法:参加ご希望の方は、booksheepbook@gmail.comまでメールで、連絡先(なるべく携帯)と年代を明記の上、お知らせ下さい。
ひきふね図書館「夜の絵本の読書会」参加者募集!
第13回読書会報告『メアリー・ポピンズ』って何者?
メアリー・ポピンズ・シリーズは、子どものころから何度も読み返してきました。次代に読み継いでいきたい一冊だと思っていましたが、最近の図書館では「動かない本」になっているそうです。時々学びに参加している読書活動アニマシオンの基本図書リストにも入っています。ところが、アニマシオンでは、これまで一度も貸し出しリクエストがないそうです。読ませたい、でも、読まない。溢れる情報の中では見い出されにくく、ひっそりと埋まっている本のひとつかもしれません。ロングセラーだとは言え、実際にはどんな人たちが読んでいるのだろう? 読み手の方々と実際に出会えるのが、読書会の楽しみのひとつです。
ふたを開けてみれば、ブログとツイッターに募集告知をしたとたんに、申し込みが相次ぎました。メアリー・ポピンズはまだまだだいじょうぶ。ほっとしたこひつじでした。さて、お話をうかがってみれば、子どものころからの愛読書派と、これを機会に挑戦派の二手に分かれました。宮沢賢治に続いて学生さんの参加がありました。東京では若い世代を中心に読書会がブームらしいのですが、このささやかな読書会でも回を重ねるごとに手応えを感じています。読書会を始めた2年前には、「お金を出して本の感想を言い合って何が楽しいの?」とまで言われたものですが、ネットでのやりとりが加速すればするほど、顔と顔を合わせて意見を言う場への渇望が増すのかもしれませんね。初対面同士でもそれぞれのペースで楽しんでくださる様子で、都会のサードプレイスとしてよい雰囲気に育ちつつあります。
さて、話を戻します。ディズニー映画の影響は少ないのか、映画からメアリーに入った方はただおひとりだけ。クマのプーさんと違い、愛らしい存在ではないですものね。著者トラヴァースにとって、原作の映画化は苦々しい体験だったらしく、作品の出来に後々まで不満を抱いていたようです。映画でメアリー役を務めたジュリー・アンドリューズは、原作に比べると愛想が良く、そのつもりで原作を読むと違和感があるかもしれません。メアリーを今風に言えば、ツンデレでしょうか。自信過剰でうぬぼれが強く、自分の姿をウインドウに映してはうっとり。常にふんと鼻をならし、ちょっとしたことで気を悪くするので、雇い主も子どもたちも気を遣いながらしゃべらなくてはなりません。それに対して、恋人のバートにはでれでれしてしまう。こんな風に書くとあんまりですが、こひつじはこのクールな感じが子どものころから好きでした。もう少しでユーモアが出てきそうな、あるいは、思いやりのある表情を出しそうでやっぱり出さないあたりが心憎い。子ども時代にそう感じたことを覚えています。つんけんしながらも、子どもたちを自分の休みに不思議世界へ連れていってくれたり、危機一髪のところで助けてくれる。やはり頼もしい存在。キング・コブラが母方のいとことは。面白過ぎます。いずれにしても、メアリーというキャラクターを好きになれるかどうかがこの物語に入り込めるポイントのひとつだと思います。子どものころは好きだったばすなのに、メアリーの高慢さが気になって、昔のように入りきれなかったという意見もありました。
メアリーの仕事ぶりを見ると、「子どもを甘やかさず、べたっとしない関わり方に、プロの品格を感じる。メアリーは著者を投影しているのかもしれない」という意見にまとまりました。人生経験を積んだ女性がひとり、腕を頼りに仕事に生きる。そう考えると、メアリーの態度にも合点がいきます。子どもたちとの距離の取り方は、冷たいわけではなく、いずれ教育の役割を終えて去っていく当時のナニーとしては、ごく当たり前だったとも言えそうです。挿絵画家は、クマのプーさんの挿絵を描いたアーネスト・H・シェパードの娘、メアリー・シェパード。著者と画家というプロフェッショナルな女性2人で、何度も話し合いを重ね、メアリー・ポピンズの容姿が生み出されたという逸話が残っています。働く女性としてのメアリーの立場を考えてみるというのは、大人読みならではかもしれません。
メアリーはナニーだと書きましたが、19世紀初期に活躍したガヴァネスではないかという意見もありました。階級制度の厳格だった19世紀初期のイギリスでは、働く女性は低く見られていました。当時のナニーは低い階級がする仕事でした。しかし、ガヴァネスの身分は雇い主と同じように高く、経済的理由で仕事を必要とする教養ある女性たちを差して呼んだようです。つまり、雇いの家庭教師といったところでしょうか。例えば『ジェーン・エア』だとか。メアリーのプライドの高さはガヴァネスという背景からくるのかもしれません。右はこひつじが探してきた本、左は参加者のぐりのりさんが紹介してくれました。これらの本を読むと、現代のイギリスは、目に見えるところでは階級制度は薄れ、ガヴァネスという存在自体が古き良き時代の思い出となっているようです。
メアリー・ポピンズといえば、岩波書店のひとり勝ちの様子。持ち寄った書籍の多くは左側の岩波少年文庫でした。でも、よくよく見ると、あれ? メアリー・ポピンズの向きが逆さま! もしやこれは、風にのって来たときと、帰るときの違いかもしれない。左はかばんに柄がないけれど、右はちゃんと絨毯柄になっている! みんなでわいわいと、読書会ならではの小さな発見でした。
『風にのってきたメアリー・ポピンズ』は、1962年、1972年、1981年の改訂で、差別表現だと非難された箇所が訂正されています。例えば、「the negro lady」は「a dark lady」に変わっています。これは、20世紀後半、『ちびくろ・さんぼ』を発端とする人種差別問題によるところが大きいようです。1981年と言えば、著者のトラヴァースが82歳のときです。「わるい火曜日」に登場するエスキモー、黒人、中国人、インディアンを、北極クマ、金剛インコ、パンダ、イルカという動物に訂正しています。持ち寄った本はすべて人間のままなので、気になって調べたところ、日本語版は改訂を加えていないようです。版元の強い意志なのか、著者との契約なのか、あるいは費用の問題なのか。理由は版元に聞いてみないとわかりませんね。動物版は挿絵も変更されているのか、これまた気になるところです。原書を探してみなくては。
それにしても、著者の情報が少ないので、不思議に思っていたところ、森恵子さんという英語圏の児童書の研究者が執筆されたトラヴァースの評伝を読んで合点がいきました。どうやら、筋金入りの自伝嫌いだったようです。
この評伝の「はじめに」には、トラヴァースの次のような言葉が紹介されています。
「わたしの自伝的事実をさがしていらっしゃるのなら、『メアリー・ポピンズ』がわたしの人生です」。やっぱり!
メアリー・ポピンズの死後、生誕100年の1999年に、ヴァレリー・ローソンが丹念に写真や日記などの遺品を調べて著した『空から彼女はやってきた』で、トラヴァースの人物像がかなり明らかになったと書かれています。森恵子さんの書かれた評伝は、墨田区の図書館に蔵書がなく、カーリルで検索して取り寄せてもらいました。メアリー・ポピンズや著者について知りたいことはほぼ網羅されています。作品研究の入門書としておすすめです。
メアリー・ポピンズと言えば、イギリス児童文学の範疇です。ところが、著者のトラヴァースはオーストラリアのクイーンズランド州生まれです。父親はロンドン生まれながら、アイルランドに深く傾倒し、ケルトの神話や伝説、イェイツの戯曲などの信奉者でした。娘であるトラヴァースの関心に、このことは大きな影響を与えているようです。8歳で父親を亡くし、家族を養うためにタイピストとして働かざるをえなかったものの、結局、高校時代に打ち込んだ舞台女優の道を歩み始めます。文才を認められて、地元の新聞でコラムを担当したり、詩を発表します。25歳でイギリスに移住し、ジョージ・ラッセルやイェイツとの交流が始まります。年の差のあるジョージ・ラッセルは、文学の師であり、生涯の恋人だったようです。35歳のとき、『風にのってきたメアリー・ポピンズ』を出版します。この年は、恋人のジョージ・ラッセルが亡くなった年でもありました。彼女は96歳で亡くなるまで、結婚はせず、養子をとって育てました。トラヴァースがさも嫌いそうな、簡単な自伝のアウトラインを紹介しましたが、これだけでも、メアリー・ポピンズが私の人生だと言った意味が、少しだけわかるように思います。強靭な意志を持つ女性。かなり手強そうです。
それにしても、メアリー・ボピンズとは何者でしょうか? 読書会では、「妖精」「魔女」という二つの意見が出ました。この評伝を読むと、トラヴァースは神話や妖精物語(昔話)というすでにあるものを「結びつける」ことを人生を通して行ってきたことがわかります。ジョナサン・スコットのインタビューではこんな言葉を残しています。「わたしは神話と詩の家のお手伝いにすぎない」。
その昔、日本における児童文学研究の世界では、メアリー・ポピンズのシリーズなど、単なるでたらめな話に過ぎないという捉え方をされていたそうです。しかし、今では研究が進み、伝承文学の土台の上に建つ、深い物語だという見方が主流になっているようです。たとえば、全体の構成をとらえてみたり、執筆年代をふまえてみたりすると、物語の奥にあるメッセージが浮かび上がってくる。こんな読み方を少しだけ読書会でも紹介してみました。
読書会の準備を通して、今回もたくさんの発見がありました。メアリーが生まれたのが著者35歳。82歳で『さくら通りのメアリー・ポピンズ』を、83歳で『メアリー・ポピンズとおとなりさん』を新たに出版し、1996年、96歳で亡くなっています。大好きなメアリー・ポピンズのシリーズに、まだ2冊も未読の作品があったとは、嬉しい驚きです。ただし、メアリーのシリーズは続けて読むと、同じパターンに少々飽きがきましたので、ぽちぽちと進めてみるのがよさそうです。これも、昔の物語の特徴かもしれません。今はジェットコースターのように次々と展開し、ストーリーを読ませることに主眼が置かれがちです。けれども、メアリーの物語は、日常風景から始まって、曲がり角ひとつ曲がるといつの間にか不思議世界に入り、ひとしきり楽しむと、また当たり前の世界に戻っているというパターンです。入って出て行く。読書体験が少ないと、この作業についていくのが難しいかもしれません。また、せりふや、表情、小物など、細部を読む楽しさも特徴ですので、これまた忙しない心では向き合えません。メアリーと出会うには、心を「ここ」に置くことが試されそうです。「ここ」に置いて初めて、目に見えなかった世界が見えてくる。みなさんには見えるでしょうか?
長々と書いてきましたが、こひつじが印象に残ったのは、メアリーの世界は、生きることの肯定感に支えられた世界であるところです。満月の夜、動物園の動物たちが、メアリーの誕生日を祝うために集まってきます。そこで、キング・コブラが、子どもたちにこんなことを言います。
「わたしくどもは、すべて、おなじものでつくられているのです。いいですか、わたしくしたちは、ジャングルで、あなたがたは、町で、できていてもですよ。おなじ物質が、わたくしどもを、つくりあげているのですーー頭の上の木も、足のしたの石も、とりも、けものも、星もわたくしたちは、みんな、かわらないのです。すべて、おなじところにむかって、動いているのです。お子さんよ、わたくしたちのことを忘れてしまうことがあっても、このことだけは、覚えていてください。」
前回の宮沢賢治も、似たようなことを言っていますが、それは肯定的というよりも、むしろ、みんな同じなのに、でも相手を食べなくては生きていけない人間としての罪悪感のような感覚が強く、その切なさを読みながら重苦しく感じるところがありました。でも、トラヴァースの描く作品には、その暗さがみじんもありません。本来、世界はよいところ、生きることは希望、という土台があるのではないか。とまあ、こひつじの感じたところを書いて終わりにします。
第14回読書会『クリスマス・キャロル』参加者募集中
こひつじこすみの共同主催では、今年最後の読書会です。
毎年、クリスマスのお茶会スタイルで12月に開催していましたが、今年は都合によりプレ・クリスマス読書会となります。短い作品ですので、気楽に挑戦してみてください。深く示唆に富んだこの作品は、生きることについていろいろと考える機会を与えてくれると思います。今回は、作品研究はひとまず置いて、自由に感想を分かち合うおしゃべり会のスタイルです。お気軽に遊びにおいでください。
日時:2013年11月30日(土) 13時〜15時
会場:こすみ図書
参加費:300円(お茶とお菓子付き)
定員:8名
持ち物:『クリスマス・キャロル』を一冊お持ちください。
参加条件:課題図書を当日までに事前に読んだうえでご参加下さい。
参加をご希望の方はbooksheepbook@gmail.comへ
・氏名
・年代
・連絡先(なるべく携帯をお知らせ下さい)
を明記のうえ、ご連絡下さい。ブログのサイドバーからもメールが送れます。
定員になり次第、締切り。お待ちしてます。
東武スカイツリーライン・亀戸線「曳舟駅」から徒歩10分ほどです。
(注:京成曵舟ではありません)
ディズニー映画のクリスマス・キャロルもあります。