大人のための子どもの本の読書会

向島こひつじ書房が主宰する読書会ブログ

『たのしいムーミン一家』みんなの読書感想ノート & ムーミン本ブックガイド

写真はこひつじが図書館から持参したムーミン関連本です。ヤンソンさんについて知ると、ムーミンはますます面白くなります。じつは、読書会風景の写真を、うっかり消去してしまいました。というわけで、みんなの感想文から、文字だけでご想像ください。お菓子もおいしそうだったのに、残念。

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さすが今年はムーミン年。あっという間に満席となり、初参加や久しぶりの方もおいでくださり、刺激の多い顔ぶれとなりました。課題図書が『たのしいムーミン一家』 では、基本のキ過ぎるかしらとの懸念もふっとび、話し合いは、広く深く楽しくうねうねと進みました。会場は苦しみの長編ハックルベリー以来のヒガムコです。大きなテーブルをぐるりと囲んで、ホスピタリティ溢れるお茶菓子とともに、ゆったり流れる時間。カフェと本はよく合います。店長、ありがとうございました!

今回は、ムーミンパパの気持ちがわかる大人の男性のご参加もあり、ムーミンママ支持者が多い中で、また違った視点をうかがえて新鮮でした。読書会の雰囲気を少しでもお裾分けできればと思います。

ムーミン第二弾をするならば、次回はムーミン谷の冬の物語がいい! と満場一致。さて、実現するでしょうか?


●せいか
初のムーミン。北欧独特の世界観・生活にうっとりしながら読み進めました。今回はコアなムーミンファンがいらっしゃると知っていたので、深〜い話が聞けるだろうとわくわくして参加したら、まさにその通りでした~。作者自身のことや時代背景、キャラクターの設定、また他シリーズの内容・感想についても聞いたり、語り合ったりして、ムーミンシリーズを全て読破したい!という気持ちにさせられました。やっぱり大人読みは楽しい! 読書会の良さを、あらためて感じた会でした。第二弾ムーミン読書会もぜひぜひ。

 キャラクターはムーミンママが圧倒的に人気でしたね。私も包容力があり、夫・操作術に長けた彼女が、同じ女性としてすごく好きです。ちなみに、個人的に推しているニョロニョロは0票だったので、ちょっと寂しかったです(笑)。「たのしいムーミン一家」には登場しなかったミィにも早く会いたいです~。

 

●ミッチー
みなさんのムーミンに対する愛あるツッコミや意見が聞けて、とても楽しかったです。また、ムーミンが描かれた時代の背景や作者のこと、世界のムーミン事情など、少々マニアックなお話もできて大満足でした。

独特なタッチのイラストはもちろん素敵ですが、風景を描写するときの文章表現もとてもきれいで、情景が目に浮かぶようでした。

 

●もも
ムーミン谷だから許されるツッコミどころ満載のやりとり、キャラ設定をみんなでマニアックに笑いあえてたのしかったです!


●たえ
今回、ムーミンは私にとって大当たりでした。ムーミン谷のキャラクターたちの、あまりにマイペースで細かいことを気にしない様子はツッコミどころが満載で、嬉しい発見でした。そして、そんなムーミンのシリーズが実は意外と陰のあるストーリーなのだということも始めて知り、なんだか惹かれました。また機会を見つけて手に取ってみたいと思います。

 

●ゲド

初めて参加しましたが、読書会はあっと言う間に過ぎて、楽しい時間でした。このために、事前に課題図書を読みましたが、久々、ただ本を読むのが楽しかった子ども時代の無邪気な読書感覚がよみがえってうれしかったです。 

ムーミンとその仲間は、テレビアニメやキャラクターグッズ、スズキの車CMなどで染みのある世界ですが、改めて、『楽しいムーミン一家』を大人読みすると、また濃い珈琲の渋い旨さがあって良かったです。

読書会はじまりは、スナフキンムーミンの仲間意識やムーミンパパのおどけた冒険心、飛行オニとの結末、はたまたムーミンの世界観など色々、話すネタをカクカクシカジカ・・・頭でこねて緊張していたのですが、参加者の皆さんとの愉快なおしゃべりやこひつじ書房店主さんの解説をとおして、リラックスでき新たな発見ができました。作者トーベ・ヤンソンさんとお母さんの愛情を味わうことができたのが何よりのお土産でした。ヤンソンさんが描くムーミンママは、そのままヤンソンの母さん肖像画だったようです。おおらかでやさしく世話焼きで、かわいいところのあるムーミンママですが、実はこどもの一人ひとりの世界、また自分自身の時間を大切する自由人で、それをまわりで経験した人(ヤンソンさん)が、その居心地良さを伝えられたのかなと思いました。(ちょっとお説教臭いですが)

話の前半、姿が変わって誰にもわかってもらえないムーミンが「本当なんだってばママ。ぼくはムーミンなんだ!本当だよ!」と泣きながら訴える時に、「落ち着いてちょうだい。あなたが本当に私のムーミンならちっとも心配することないわ。私が自分の子どもを間違えるはずはありませんよ」。という言葉は、大人が自分を見失ってあたふたする時に、こころにしみる言葉、戻るべきところだなと思いました。そして、「あなたは確かに私のムーミンだわ」。ということばは、不動の母の愛情だと思いました。(たまたま読書会の次の日が、ちょうど母の日だったのでそう感じたのかもしれませんが・・)。

また、「ちょいとひと休みしましょ。ママはこう考えたのです。ところが、まもなくママは、ぐっすりねむりこんでしまいました」。ってのもいいです。

 今回の会場である喫茶店で、何をたのもうか、木いちごのジュース?と思案しましたが、注文したフレンチトースト(バナナキャラメルソース)と濃い珈琲は正解でした。また、ムーミンの雰囲気を楽しもうと、スナフキンのようなよれた帽子をかぶってきましたが、さすがに読書会ではやめました。こんなちょっとした楽しみも読書会ならでは許されること?。かもしれません。・・・寛容な読書仲間に感謝します。

 

 

いかがでしたか? 読書会でムーミンは二回目でしたが、こひつじにも新しい発見がたくさんありました。ムーミンの世界観には、水木しげるに通じるものがあるという意見が出ましたが、一同、妙に納得しました。ただし、ムーミンのアニメは、あれはまた別。日本文化としてのムーミンですからね。世界の国々にどのようにムーミンが受容されたかを知るのも、大人読みの視点として面白いと思います。イギリスでは、有名な日刊紙でムーミンがコミックスとして爆発的な人気を誇ったそうです。アメリカではあまりウケないというのもわかるような。ディズニー文化と水木しげるは、やはり違いますよね。北欧と日本。水と森。要は湿度でしょうか。ひんやりした感じ。本当のムーミンは、かなり水分を感じます。

最後に、ムーミンの大人読みにおすすめの関連本を紹介します。こひつじが特に面白かったのは、『考える人』『ムーミンのふたつの顔』『島暮らしの記録』です。ヤンソンさんの島暮らしの記録は、映像にもなっているようですね。機会があれば、見てみたいと思っています。

MOE×ムーミンの公式ガイド (白泉社ムック)

MOE×ムーミンの公式ガイド (白泉社ムック)

 

 

 

ムーミン谷の絵辞典 英語・日本語・フィンランド語

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ムーミン谷のひみつ (ちくま文庫)

ムーミン谷のひみつ (ちくま文庫)

 

 

ムーミンのふたつの顔 (ちくま文庫)

ムーミンのふたつの顔 (ちくま文庫)

 

 

トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界―ムーミントロールの誕生

トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界―ムーミントロールの誕生

 

 

ムーミンを読む (ちくま文庫)

ムーミンを読む (ちくま文庫)

 

 

ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン

ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン

 

 

考える人 2014年 05月号 [雑誌]

考える人 2014年 05月号 [雑誌]

 

 

ヤンソンとムーミンのアトリエ

ヤンソンとムーミンのアトリエ

 

 

島暮らしの記録

島暮らしの記録

 

 

ムーミンママのお料理の本

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