大人のための子どもの本の読書会

向島こひつじ書房が主宰する読書会ブログ

星の王子さまは宇宙規模!? 第2回読書会ご報告

今回集まったのは定番の内藤訳と新顔の河野真理子訳。

1か月の夏休みをはさんで、久しぶりの読書会でした。今回は、男性たちの参加もありました。

参加者に人気なのは、王道の内藤訳でした。古風でありながら、なぜか心に残る言い回し。この訳なくしてはと意見が一致。正確な訳が必ずしも心に響くわけではないという翻訳の機微を、様々な翻訳を読み比べて実感する場面もありました。

驚いたのは、辛酸なめこの「超訳」です。挿絵も著者が描いています。今は著作権の保護期間が切れたせいか、新訳が続々と出版されているようです。

冒頭に出てくる「ゾウをこなしているウワバミの絵」(内藤訳)の「ウワバミ」談義でひとしきり盛り上がりました。河野訳では「ボア」です。ボア? フランス語の原文を確かめると、本当に「boa」でした。「ボア」は大蛇の総称か、あるいは種類のひとか。馴染みのない「ボア」に一同、首を傾げる場面も見られました。

星の王子さま』はメタファーやたとえ話が多いので、読書会の題材として、これまでの選書にはない難しさを感じました。読書会では、本を題材に、次第に自分の心の内や思いを話す方向に進むことが多いため、ある程度の自己開示が求められます。『星の王子さま』の世界は、作品自体が持つ力が強いせいか、心のありようをさらされてしまう。その葛藤に耐えられる人もいれば、言語化することが苦手な人もいる。また、思いはあっても、ことばに表現するのが難しく黙り込んでしまう。とはいえ、沈黙をも楽しむ読書会があっても悪くないと感じました。

星の王子さま』は、その時の自分が照らされる本。なるほど。この作品が幅広い世代に、今なお読み継がれる理由が、読書会での話し合いを通して少し見えてきたように感じました。なにしろ、部数で言うと、聖書とコーランに次ぐ世界のベストセラーですから。

星の王子さま』は、アメリカに亡命中の著者が、NYの出版社からクリスマスの企画として依頼された本です。小さな星から来た王子さまが、物語の最後、自分の星に帰るためにいのちを落とす。この最後のエピソードの意味について、各自、宿題をもらったような気がしました。

Reciep♯2 宇宙ゼリー

聖書をふだん読んでいるこひつじが今回読み返してびっくりしたのは、王子さまの話すことばには、聖書の内容との類似が多いこと。普遍性は宇宙規模!? というわけで、こすみが作ってくれたのは「宇宙ゼリー」。ちりばめられたブルーベリーの粒。もちろんこれはたくさんの小さな星。少し中華っぽいところはご愛嬌です。お茶はローズティーをお出ししました。なぜローズか? 『星の王子さま』を読んで答えを探してみてください。気ぐらいの高いバラ。

次回は、特別企画になります。「ふるほん日和」関連イベントとして、読書会は『モモ』を読みます。☆詳細はこちらふるほん日和

10月29日(土) 13:00〜15:00 会場:こすみ図書
要申し込み booksheepbook@gmail.com にご連絡下さい。

みなさんのご参加をお待ちしています。

10月23日(土) は「ふるほん日和」の参加企画として、
ブックツリー(読まなくなった本と本のとりかえっこ) 11:00〜17:00
紙芝居 14:00〜、16:00〜 いずれも会場:こすみ図書

詳細はまたブログとtwitterでお知らせします!