大人のための子どもの本の読書会

向島こひつじ書房が主宰する読書会ブログ

読書会報告『飛ぶ教室』ケストナー先生に脱帽!

クリスマスの読書会から時が過ぎ、なんと新しい年となっていました。2013年もこひつじこすみの読書会に親しくおつきあい下さい。

飛ぶ教室』の読書会。今回も各種の翻訳が集まりました。古典中の古典と言えば、高橋健二訳。こひつじのおすすめは、池田香代子訳です。フランクルの『夜と霧』を新訳で蘇らせた翻訳家です。平易なことばを使いながら、古典に新たな命を吹き込むチカラはさすが。

今、購入できるものをいくつか紹介します。

久しぶりに参加してくれた本読み人のナオピーを含め、男性が2名。ケストナー先生の手腕と子どもへの優しい眼差しには、男女問わず、満場一致で絶賛。こういう作家は、今、いますかね? 

おぐりとしょかんさん推薦のケストナー本。ケストナー作品を深く知る助けになりそうです。

下の2枚は同じ場面の挿絵。ウーリが勇気のあるところを見せるために傘一本で飛び降りたエピソードです。

翻訳が違えば、挿絵もこんなに変わります。上の少年たちは、ニッポン男児? 
下はケストナーとタッグを組み続けたWalter Trier。『飛ぶ教室』の舞台設定は、ギムナジウムというドイツの寄宿学校です。日本で言えば高校生の物語となるところですが、小学生の話として読んでいた人もいました。確かに今の高校生を基準にして読むと、懸命で純粋で、ありえない、と思ってしまうような。でも、どちらが本当はありえないのでしょうね。

毎回、読書会の最後に簡単なアウトプットをするようにしています。今回は、特に印象に残った台詞、一文などを書いて紹介し合いました。

Recipe♯9 ドイツ風クリスマスのお茶会
ドイツを代表する作家・ケストナー先生に敬意を表し、ドイツのクリスマス菓子シュトーレンとコーヒーにしました。ケストナーの作品には、一杯のコーヒーから始まる恋のミステリーがあるので、それにちなんで。日本には「カフェ・ケストナー」という名のお店もあるようです。今回はオーガニックな豆にしてみました。オーガニックというのは、こひつじの勝手なドイツの食のイメージ。

こんな本です。日本では大人向けの作品はあまり読まれていないように思います。でも、ケストナーは子ども向けと大人向けの本を、バランスよく半々ほど執筆している作家です。

ウエルカムドリンクとして、クリスマスのスパイシーなドリンクを出しました。ドイツ人の友人から教えてもらったホットワインのレシピを、ノンアルコールにしてみたオリジナル。日独合作です。レシピを知りたい方は、こひつじのブログをご覧下さい。
クリスマスのドイツ風ホットドリンク : 牧師館のお茶会

ケストナーはドイツの作家だと書きましたが、半分はユダヤ人の血が流れているために、ナチスと同時代を生きた作家として辛い体験をしました。『飛ぶ教室』を執筆した当時、すでに国民的作家でしたが、ケストナーナチスにとって好ましくない作家として著書を焼かれたり、図書館の棚から排除されたりしました。そのような背景を知って読むと、ギムナジムウ生と実業学校生との対立や、ベク先生のことばが示唆することなど、大人読みがいのある作品だと思います。大人読みについては、いずれ書ければと願いつつ。

次回の読書会のお知らせ

次回は『クローディアの秘密』。舞台はNYのメトロポリタン美術館です。今、日本に展示が来ていますね。これまたこひつじのイチオシ作品です。カフェで開催する予定ですので、席に限りがあります。お申し込みをお待ちしています。詳細は追ってお知らせします。

日時:2013年2月23日(土) 11:00〜13:00pm

課題図書:『クローディアの秘密』

場所:玉ノ井カフェ玉ノ井カフェ. 玉ノ井カフェ 営業時間・アクセス

申し込み先:booksheepbook@gmail.com

♪こひつじの新刊のお知らせ
向島ひつじ書房を主宰する宮葉子が新刊を出しました。「こころのごはん」である聖書のことばを30選び、それぞれに短いエッセイを添えました。こどもの本の話がたくさん出てきます。ムーミン、モモ、ハイジなど、読書会で取り上げてきた作品も。読後感としては、心が鎮まるとか、お風呂にゆっくり入ったような気分、など・・・。忙しい日々に、こころのごはん、いかがでしょうか。アマゾンで購入できます。