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大人のための子どもの本の読書会

向島こひつじ書房が主宰する読書会ブログ

パディントンはドラえもん? 第3回読書会ご報告

原書の英語は易しいのでおすすめです。
これは2009年出版、Harper CollinsのFIRST MORDRN CLASSICSのシリーズ。
巻末にパディントンクイズや地図など、おまけの読み物が付いていてお買い得です。
アマゾンで安く手に入ります。

今年もあとわずかですね。
すっかり遅くなりましたが、年内最後の読書会の報告です。

クリスマスになると、忙しさも倍増するこひつじですが、
嬉しさはもっともっと何倍も。
もしもクリスマスのないまま一年を終えるとしたら?
味気も張り合いも希望もなくなりそうです。
そう! パディントンにも、クリスマスの出来事は欠かせません。

福音館書店パディントンシリーズは全部で10巻あります。
それぞれ読み切りが、7話入る構成です。
その最終話には、クリスマスの出来事がよく扱われます。
家族で祝うイギリスのクリスマスの様子が垣間見られて、
これもパディントン読書の楽しみのひとつと言えるでしょう。
クリスマスの飾り付けをロンドンの町中まで見に行ったり、
家族へのプレゼントを地下鉄に乗ってあれこれと大型百貨店へ買い出しに行ったり。
クリスマス当日の朝には教会で礼拝をし、
お昼は自宅へ戻って家族みんなで食卓を囲んでお祝い。
こひつじが子どものころに読んで憧れた文化の原点のひとつかもしれません。

今回は第二巻『パディントンのクリスマス』を課題図書にしましたが、
こひつじ以外パディントン体験は初心者の方ばかりでしたので、
どちらかというと『くまのパディントン』を用いて話し合いを行いました。

今回はひとつの試みとして、
「リテラチャー・サークル」という
アメリカの学校現場で開発された読書会の方法を取り入れてみました。
とは言え、こひつじもこすみも、リテラチャー・サークルは未体験。
失敗を覚悟の上で、みなさんに協力していただきました。

今後のために、今回のタイムスケジュールを記録しておきます。

♪読書会プログラム
1アイスブレイク 名札作り(好きなニックネーム)
2自己紹介 参加の動機(期待していること)
      パディントン体験値(初めての人は印象をさらっと)
3リテラチャー・サークルの説明と4つの役割分担決め
4各自役割シートに記入(個人作業)
5シートに従って発表と話し合い

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6クリスマスお茶会 振り返りとおしゃべり

4つの役割がすること
(1)思い出し係 パディントンを読んだことから思い出したこと、連想したことは? 
(2)質問係 疑問に思ったこと、グループで話し合ってみたいことは?
(3)選び出し係 印象に残ったり感心した文章や、特別な言い回しは?
(4)イラスト係 自分の好きなことや場面を絵にする。

というわけで、これはイラスト係さんが描いてくれたブラウン家の間取り。
一同、目にした瞬間、「すごーい!」と称賛の声。
作者のYさんは、なんとプロの設計士さん。納得。
それにしても不思議なのは、2階に部屋数が多いこと。
イギリスの一軒家はこれが普通? と首をひねりつつ、しばし盛り上がりました。
こういう細かいところに気が付くのは、リテラチャー・サークルのおかげですね。

この方法を使うと、確かにまんべんなく全員が発言し、
1人1人が主役になることができるようです。
その人らしい気付きが表れるのも魅力だと思いました。
なによりも
真剣にお互いの意見に耳を傾け、面白がったり、
発想を広げようとしていくみなさんに恵まれての成功でした。
ありがとうございました!

今回、個人的に面白かったのは、
パディントンに苦しめられた人たちが少なからずいたことでした。
その理由は、どうやら「大人読み」が原因のようです。
パディントンがいっこうに成長しないで、
同じような失敗を引き起こすのに、イラッとしたり、
この話のどこに深い思想があるのかと首をひねったり、
メタファーを探してみたり・・・。
いえいえ。これは子どもの本。
リラックスして、くすくす笑って読む本。
舞台装置や、小道具や、ちょっとした会話の中のウィットに
にやけてしまうような読み方が、
パディントン読みのスタイルかもしれません。
それでも、ふだん大江健三郎中上健次など骨太な読書をしている方が、
途中から弾みがついて面白くなった、と言って下さり、嬉しいかぎり。
話し合いの結論として、
「そうか! パディントンドラえもんのようなものなんだ!」
(わかるようなわからないような。でも、なんとなく納得)。

いまでは単なるキャラクターかと思われているクマですが、
この礼儀正しいペルーから来たクマの魅力が、
本を通してこれからも伝わり続けてほしいと思います。

最後にこひつじの大好きな箇所を「選び出し」てみます。

「ねえ、ヘンリー、」と、奥さんはつぶやきました。
「うちの中にクマがいるって、いいものねぇ。」
(『くまのパディントン』より)

パディントンを少しだけ紹介します。(福音館のサイト参照)

☆物語誕生のきっかけ
作者であるボンドが、妻に贈ったクマのぬいぐるみからインスピレーションを得て、
子ぐまを主人公に8日間で書き上げたと言われています。
そもそもこのクマは、ロンドンのデパートのショーウインドーで一体だけ売れ残っていたものでした。
当時、夫妻はパディントン駅近くに住んでいたことから、命名されたそうです。

☆名前 パディントン・ブラウン
☆出身地 “暗黒の地”ペルー (原書ではDarkest Peru)ペルーの人はどんな気持ちですかね? そういえば、大人読みをあえてするならば、この本は、イギリスに来た移民が、イギリスの習慣に出会い、驚き、失敗を重ね、少しずつ異文化になじんていくプロセスを描いた物語、とも読めなくはありません。でも、結局は、パディントンよりも、周りが変わっていくんですけどね。
☆体重 16ポンド(約7㎏) トイプードルくらい? 小さ過ぎ。でも、ダッフルコートを着てるんですよ。
☆身寄り リマの老グマホームに入居しているルーシーおばさん(もちろんクマです)
☆性格 正義感が強く、礼儀正しい。新しいものが好きで好奇心旺盛。
☆特技 ルーシーおばさん直伝のひとにらみ(傲慢な店員などが、これでたじたじに)
☆持ち物 古いスーツケース
☆好物 マーマーレード(マーマレードサンドイッチは万一に備えて帽子の下に入れてあります)、ココア、菓子パン、オズボーンビスケット


Recipe♯4 クリスマスのお茶会(ハロッズのクリスマスティーNo14+スコーン)


クリスマスなので、今回は少しがんばって三段トレーの登場。
ロータスのシナモンクッキーとオレンジピールのケーキ(これは市販)。
そして、スコーンを焼いて、クロテッドクリームとベリーのジャム付き。
ハロッズのクリスマスティーの中身は、定番のNo14です。
これはEnglish Breakfastという名前でふだんは売られています。
アッサム、セイロン、ケニヤ、ダージリンの4種のブレンドが絶妙。
ミルクティーがよく合います。
年に一度のクリスマスですからね、ふだんよりはお茶に気合いを入れてみました。


スコーンは難しい。でこぼこ。

今年の初夏に始まった読書会は4回開くことができました。
まだまだ試行錯誤が続きますが、
参加して下さったみなさん、会のために様々にご協力して下さったみなさんに、
心からの感謝を申し上げます。

来年も、ゆるゆると続けていきたいと思っています。

1月は休会します。

2月25日(土)13:00〜 『ハックルベリー・フィンの冒険』

これまた初の試みとして向島界隈のカフェになる予定です。
詳細が決まりましたら、ブログとツイッターでお知らせします。

次回は一転して骨太な作品ですよ。余裕を持って読み進めて下さいね。
(文責:向島こひつじ書房)