大人のための子どもの本の読書会

向島こひつじ書房が主宰する読書会ブログ

第3回読書会『モモ』報告

まずはモモを読んだ印象を色だけで表現してみました。大作を前に、準備体操代わり。

今回はふるほん日和の参加企画。あえて大作の『モモ』に取り組みました。
読書会に参加するためには、ひと手間もふた手間も必要になります。本を手に入れて、一人で読書して準備する。これが、今の時代にはなかなかそぐわないようです。例えば、読まない読書会、というスタイルが人気のようです。

それでも、あえて長編の『モモ』を選んだ私たち。さて、どうなることでしょう?谷中界隈にまで足を伸ばし、チラシを配って歩きました。『モモ』はよく知られた作品なので、関心を持ってもらうことはできましたが、読み返す時間がなくて参加を断念したり、時間の都合のつかない方ばかりでした。やはり時間泥棒はすでにこの東京にもかなり手が伸びているようです。

ところが、最後の最後に、こどもの本の大好きな方がこのブログを通して私たちの読書会を見つけ出して下さいました。『モモ』の読後感のように嬉しい結末となりました。初めてのまったく知らない方のご参加。やった。

『モモ』はたくさんのエピソードの積み重ねで構成されているため、当日はまず、あらすじを一章ごとに確認することにしました。
その中で、気になったことや、好きな箇所などを自由に分かち合っていきました。これがかなりの体力勝負。途中、ビビガールにウケたり(ビビボーイまで登場!)、ジジとモモのロマンスが気になったり、灰色の男の慌てふためく様に吹き出したり。物語の旅は果てしなく感じられ、さすがに途中でティーブレイク。やがて私たちの話題は、時間とお金と愛というものの関係性へと広がり、少々頭が痛くなりつつも、いつになく考えさせられました。駅伝並みと言えば大げさでしょうか。みなでバトンを渡しつつ、なんとかゴールしたような達成感でした。

作者のエンデは、自分の作品は意味を解釈されるのではなく、「体験される」ことを望んでいるのだとインタビューに答えています。
『モモ』の読書体験を通して、自分自身の立ち位置を確かめさせれられたような気がしました。数年に一度、読み返してみたい本の一冊です。

今回は読書会の写真を撮り忘れました。慌てて最後にかき集めた本日のお茶菓子。
Recipe♯3 ピーチティー+鳩の街のクッキー

モモだからもも茶では、あんまり? 日本びいきのエンデの談話に、「モモ」が日本語では果物の意味だと知って大変嬉しく思った、
と語るエピソードがあったので、ベタな選択も悪くはないかと。後から考えると、マイスター・ホラのすすめてくれた朝ごはんにちなんで湯気の立つホットチョコレートにすればよかった。ただ、このピーチティーは香りがとてもよく、ひと時、幸せな気分に包まれたのでした。

ふるほん日和への初参加は、あいにくの小雨となりましたが、朝からまち歩きのみなさんが訪れるなど、本とまちがつなぐ楽しい出会いの一日となりました。コーヒーと手作りバナナブレッドでおもてなし。こすみ図書の空間に、レトロな紙芝居スタイルがしっくりきました。またこひつじこすみに会いに来てね。