大人のための子どもの本の読書会

向島こひつじ書房が主宰する読書会ブログ

ムーミンは壮大だった?!  第1回読書会ご報告

まさに猛暑という日に、初めての読書会が開かれました。昨年オープンしたこすみ図書にはまだ冷房施設がないので、覚悟をして集まったものの、大きなガラス戸を開け放ち、扇風機を回してみると、これがなかなか。風情があって、暑さも気になりませんでした。空間のチカラ。

明日は読書会だと思うと優雅な気分になるねと、まずは顔合わせをかねておしゃべり。予想通り、第一回は乙女な雰囲気のオープニング。早々に、冷たいおやつをいただきながら、それぞれの子ども時代の本体験などを紹介し合いました。

このゆるりとした雰囲気に、突如、ご近所の若いパパさんが飛び入り参加。途中退出されるというので、トップバッターで語っていただきました。地域密着型のこすみ図書が会場ならではのハプニングです。お子さんたちへの読み聞かせてを考えて、絵本タイプのムーミンでした。話題はスナフキンの知恵に。スナフキンに憧れを感じるそうです。

今回はムーミン・シリーズの中の一冊という課題でした。そのため、選択肢が広く、集まった本も多種多様。
ムーミンの世界は冊数もさることながら、キャラクターも多く、壮大で、疑問が浮かぶ度に、こすみ図書が用意した「ムーミン童話の百科事典」で調べました。ムーミンのことならば、たいていのことは載っています。ムーミンママの項目を音読してもらい、ママを称賛する文章に、みんなで共感しました。大人気のママ。

参加者のパパさんが抜け、女子会となるや、話題はムーミンママに。特にママの夫操縦術(段階を踏んで相手の心をよい方向にガイドしてあげる、とか、決して相手の意見を否定しない、とか)にいたく感心しての幕引きとなりました。

またいつか、ムーミンを読む会を開きたいと思います。その時は、同じ一冊のしようと意見にまとまりました。
最初の一歩は、人数も少なく、試行錯誤でしたが、開いてみると気付きがたくさんあり、一人で読むのとはまた別個の楽しい時間でした。

8月は暑いので夏休み。(始まっていきなりですが)

次回は9月、「星の王子さま」です。(本が変更になりました)
ぜひご参加下さい。心よりお待ちしています。

-Recipe♯1 3種のゼリー+アイスジャスミンティ

読書会のお楽しみはお茶とおしゃべり。というわけで、「かんたんカワイイ」おやつをモットーに、少しずつ本に合わせたおやつなどもご用意したいと思っています。

ただし、お値段も「カワイイ」がお約束。第一回は、こすみ図書がおやつ担当となり、得意のふるふるデザートを用意しました。一つの器に3種類のゼリーがミックスされているという隠しワザ。ふるふる具合も微妙に違って大満足でした。


今回、集まった本を気ままにブックトーク
ムーミン・シリーズ

楽しいムーミン一家
最初の一冊としておすすめ。じつは、シリーズの最初に書かれたものではありません。そのせいか、キャラクターもこなれて、全体的に前向きな物語です。最後の飛行おにの笑う場面が、いいんです。みんな幸せで大団円。ママのパンケーキを食べてみたいな。

ムーミンパパ海へいく」
ムーミンパパが、突然、海に行こうと言い出します。ムーミンパパはじつは孤児として律法主義的なヘムルが経営する孤児院で育ちました。その反動ですかね、「自由」を求めて、自分のいる場からときどき逃げ出したくなるようです。パパは父親の沽券、というものにこだわります。でも、聡明なママおかげで、いつもプライドを保ちながら、最終的にはよい方向を選ぶことができるんですね。ママの底力を毎回感じます。

ムーミン谷の仲間たち」
ムーミン谷に住む仲間たちの9つの物語。もっとムーミンの世界を知りたい人におすすめします。ここでもムーミンパパは、ある日ふいと家を飛び出してしまいます。ニョロニョロのように、何も考えず、気ままに旅をする人生に憧れるも、それは本当の自由ではない、と気がつく場面が印象的です。でも、この巻は全体的に抽象的な表現が多く、子どもたちには難しいかもしれません。まさに大人のためのムーミンかな。

「小さなトロールと大きな洪水」
講談社のシリーズでは別巻となっています。「楽しいムーミン一家」が書かれるよりずっと以前の作品です。ムーミンとしての最初の巻ですが、挿絵を見ても、キャラクターとしても、私たちがよく知っているムーミンとは少し違います。作者自身も、あまり気に入らない作品となったようで、日本での出版は、この巻だけなかなか許可されなかったそうです。ですから別巻なのですかね。ムーミンママの顔が全然違うのも面白い。全体的に暗い雰囲気なのは、戦争中に書かれたことと関係があるのでしょうね。ここでもムーミンパパは、家族を置いて、一人別行動をとっているキャラクターとして描かれています。その動機は、家族のため、なんですけどね。ムーミンの原点を知りたい人におすすめです。

ムーミン・コミックスシリーズ

「恋するムーミン

★番外編

「彫刻家の娘」
トーベ・ヤンソンはアーティストの両親を持ち、個性的な人生を歩んだ人です。これはいわば自伝ですが、子ども時代の話が中心となっています。母方の祖父が、牧師だというのは初めて知りました。ロシア正教ですけれど。

ムーミン童話の百科事典」
読書会に一冊。これで何でも解決できます。